ノコギリザメ
口先の形が特徴的なノコギリザメですが、剣のように長く突き出した口先の縁(ふち)に、鋭くとがった大小の棘(とげ)が1列に並んでいる様子は名前どおりノコギリのようです。
日本近海や東シナ海にかけての砂や泥の海底付近に生息していて、大きなものでは150cmに成長します。
えさとなる小型の魚類やエビやカニなどの甲殻類(こうかくるい)、イカなどをノコギリ状の吻(ふん)で海底から掘り起こしたり、突き刺したりして捕まえると考えられています。水槽でもふだんは底でじっとしてほとんど動きませんが、えさを入れると吻をすばやく左右に振りながら泳ぎ回ります。吻のほぼ中央にある左右1対の長いひげは、砂の中からえさを探しだすための感覚器官だと考えられています。
ノコギリザメは30cmほどの仔ザメを産む胎生(たいせい)の魚で、一度に生まれる仔ザメは12尾ほどです。生まれたばかりのノコギリザメの棘は後ろ向きに折りたたまれています。これは出産時やお腹の中で母ザメを傷つけないようにするためだと考えられます。
棘は1週間ほどで次第に起き上がり、名前通りのノコギリ状になります。